お母さんのいとこの「けんとくん」が結婚することを知った一華さん。家族はみんな、やさしくて、かっこよくて大好きなけんとくんの結婚を喜んでいます。
しかし、一華さんは少し寂しいような、悲しいような気持ちを抱いています。私たちも身に覚えのある感情ですが、一華さんは自分の心の動きをとても素直に綴っており、その客観的な視点、想像力豊かな描写に驚かされます。実際の結婚式で、けんとくんの家族が涙を流す様子を見て、「私と同じように、悲しくて泣いているのかな?」と考える一華さん。おばちゃんに、みんなは感動して泣いているんだと教えてもらい、初めての感情を知ります。自宅に帰ってからも、感動するとはどういうことだろうと考え、一華さんは自分が感動した出来事を思い出します。
大人でも自分の感情に名前がつけられずに困惑することがありますが、大好きなけんとくんの結婚式という経験を通して、感動とは何かを知るまでの過程で「こころがあたたかくなる」涙の発見が語られているのが印象的でした。悲しいことや、つらいことで流れる涙はいやなものですが、これから一華さんがたくさんの新しい感動に出会えることを願っています。
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