「2023年6月のある日、私にとって忘れられない大事件が起きた。」小学校3年生の櫻子さんは、ある日の夜中、耳の下にとてつもない痛みを覚え「痛さで涙が止まらない」状態になり、救急病院へ駆け込みます。原因はおたふく風邪で、学校は5日間の出席停止。
予定されていた教育実習生とのお別れ会にも参加できず、実習生に花束を渡すという大事な役目を果たすことができなくなってしまいます。おまけに友だちにも会えない日々を過ごすことになった櫻子さんは、「大好きな学校に行けない!」というもどかしさや、学級で果たさなければならない役割への責任感など様々な想いに苛まれます。
一方で、その様子を客観的に、ユーモアたっぷりに生き生きと表現しているのが印象的です。「もう学校に行っても大丈夫だよ。と先生に言われたときに、両手でガッツポーズをして喜んだ」という一文は、シーンが目に浮かぶようで微笑ましくなりました。
最後に「学校に行けたこと、友達に会えたことがうれしくて(略)久しぶりに行った学校は何もかもが楽しかった」「もうおたふくなんてこりごりだ」と綴っている櫻子さん。櫻子さんがいつも明るく前向きな性格で、ユーモアがあり、友達との楽しい時間を大切にしていること、みんな仲の良い素敵な家族であることも伝わる、温かい作品でした。
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