「僕はやる気を出してなにかに取り組んだことがありません。そもそもやる気って必要なのでしょうか」との問いかけから始まる本作品。
「すぐ、めんどくせーとネガティブなことばかり考えてしまう」遥登さんが本気で「『やる気』って何だろう?」「『やる気』って本当に必要?」「どうしたら『やる気』は出るの?」と探究する過程そのものをユーモラスに綴った作品となっています。その過程の中で遥登さんは、「自分は自分の考えや想いで行動してきたこと」、「常識的な『やる気』の意味に左右されてこなかったこと」、でも「決めたことはとことんまでやりきること」(お父さんの言葉)の重要性に気付きます。
現代の教育では、全ての子どもたちに「好きなことを見つけて楽しく学ぶ」「意欲的に、前向きに学ぶ姿」「粘り強く試行錯誤しつつ、大切なものや真実を発見する」ということが求められていますが、これはそんなに簡単ではありません。一人ひとり成長の過程においては誰でも、悩みや葛藤、不安を抱くものです。
そのなかでも遥登さんのように、当たり前になっていることに「それは本当なのか?」「理由は?」と問いや疑問を持つこと、自分と向き合うことが、これからの社会を生き抜くために重要です(これを「ロジカル・クリティカルシンキング」と言います)。「常識」となっている社会や学校での生き方や考え方に疑問を持ち、中学生の時期に大切なことを見つめ直すことで、自分らしい生き方を創るためのステップになります。
度々出てくる「僕は面倒くさがりな性格」という言葉も、ただの言い訳ではなく、自らを客観視した上で前に向かおうという表現だと感じられました。試行錯誤の過程で多面的・多角的に実践したり、効果を検証したりする様子から、遥登さんに備わる深い考察力が伺えます。今後もぜひその力を伸ばしていってください。
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