課題図書は、「社会起業家の仲本千津さんが、アフリカのウガンダでバッグ工房を立ち上げるまで」を描いた記録・伝記的作品。読書感想文ではただ内容の感想を述べるのではなく、作者の生き方や信念・行動と葛藤、背景等との「対話」を通し自身の中に眠っていた記憶や感情、価値観を呼び覚まし、再構成したり新しい発想に辿り着くことが重要です。
楓子さんは千津さんの考えに疑問や課題意識を持ちながら理解を深め、現代に生きる女性や私たちの本当の意味での自立・自律した幸福な生き方について考察している点が高評価につながりました。楓子さんははじめ、千津さんが「人を救いたい」といいながら、なぜアフリカでバッグ工房を立ち上げるに至ったのかという点に疑問を抱きます。アフリカのウガンダにはシングルマザーが多く、千津さんはそういった方々のためにバッグ工房を立ち上げています。楓子さんはそこで彼女たちの自立を促すことで、女性たちだけではなく周囲にいる子どもたちを含めた生活レベルの向上に寄与することが千津さんの狙いだったのだと気付きます。
人は行動を起こすとき、目先の利益や短期的な成果に気を取られがちです。しかし、本当に必要なのは長期的な視点です。「ミシンの音」の変化に気づいた楓子さんには、きっと千津さんの想いも伝わっていると思います。ぜひ自分らしく輝ける場所を見つけてください。
(課題図書『アフリカで、バッグの会社はじめました: 寄り道多め、仲本千津の進んできた道』江口絵理 著 さ・え・ら書房)
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